研究内容|物質反応論II研究室

EN 兵庫県立大学

研究内容

研究テーマ:有機合成を駆使して新しい分子をつくる。

薬や機能性材料は現代生活をおくるうえで欠かすことができない物質です。これらの物質は最小単位となる分子から構成され、分子の構造や電子状態は物質の性質に影響を与えます。そのため新しい分子の創出は新物質の開拓につながります。三宅研では新奇な骨格をもつ分子を設計し、有機合成の様々な手法を用い分子を合成します。また、効率的に骨格を構築するには新しい合成反応も行います。

有機合成を駆使して新しい分子をつくる

新奇π共役有機分子の創成と機能の探求

グラフェンは正六角形構造をもつベンゼンが二次元シート状に縮環した物質であり、電子材料、光学材料として期待されています。その一部を切り出した構造をもつπ共役分子を多環芳香族炭化水素(PAH)化合物と呼びます。PAHは電子材料や生体材料に広く見られる骨格であり、その構造や電子状態が性質に大きな影響を与えます。そのため新しいπ共役骨格の創成は新たな機能性材料を設計する上で重要です。

グラフェン:正六角形構造をもつベンゼンが二次元シート状に縮環した物質

三宅研ではPAHをベンゼン環の部分をヘテロ芳香環や他の正多角形に置き換えた分子に注目し、その機能を開拓しています。具体的には八員環に置き換えたヘテロ[8]サーキュレンやヘテロPAHに関する研究をおこなっており、これらの分子の構造柔軟性、反芳香族性、外部刺激応答性、金属への配位能に基づいた電子材料や生体材料への応用、触媒機能の創出を目指しています。

八員環に置き換えたヘテロ[8]サーキュレンやヘテロPAHに関する研究
新奇π共役有機分子の創成と機能の探求

立体選択的有機合成反応の開発

医薬品原料や生理活性天然物の合成へ応用可能な新規合成反応の開発を行っています。具体的には超原子価ヨウ素を用いた酸化反応、有機分子触媒を用いた極性反応による新規炭素―炭素結合生成反応など、酸化・還元・極性反応と、すべての反応様式を網羅した立体選択的な反応開発を目指しています。